大腸ポリープ

大腸ポリープとは

診察ポリープは隆起した組織で大腸粘膜にできたものを大腸ポリープと呼び、直腸とS状結腸にできやすい傾向があります。ほとんどは良性ですが、放置すると大腸がんになる前がん病変のポリープがあります。 大腸ポリープは腫瘍性と非腫瘍性にまずわけられます。腫瘍性は腺腫で、非腫瘍性には過誤腫性・炎症性・過形成性ポリープがあります。一番多く発見されるのが腺腫で、その次が過形成性ポリープです。非腫瘍性のポリープががん化することはかなりまれです。腺腫は良性腫瘍ですが、進行すると一部ががん化します。大腸腺腫症を起こして放置すると大腸がんになるため、ポリープの段階で切除することは、将来の大腸がん予防になります。

症状

ポリープには痛みや違和感などの自覚症状がほとんどありませんが、便が擦れるような場所で大きくなると便の通過で傷付いて少量の出血が起こることがあります。この状態をみつけるのが健康診断などで行われている便潜血検査です。ただし、まだ小さく隆起も少ないポリープをみつけることはできませんし、大きくなっていても軟らかい便が通る場所にあったら出血が起こらないので見逃してしまうことになります。早期の大腸ポリープを確実にみつけることができるのは、粘膜の状態を直接観察できる内視鏡検査だけです。

早期発見・早期治療が健康や暮らしを守ります

食生活の欧米化などにより日本人の大腸がん罹患率は増え続けており、2020年にはがんによる死亡原因として、大腸がんが男女ともに1位になるとみられています。また、前がん病変である腺腫の大腸ポリープも増加の一途をたどっており、日本では40歳以上の約半数にこうしたポリープがあるとされています。前がん病変である大腸ポリープは、内視鏡検査で発見した際にそのまま切除する治療が可能であり、それによって将来の大腸がんを防ぐことができます。
そのため、当院ではリスクの高まる40歳以上の方に、定期的な大腸内視鏡検査をおすすめしています。

大腸ポリープの切除

内視鏡室大腸ポリープは内視鏡検査で発見した際に、そのまま切除の日帰り手術が行えます。検査中に切除できるため、事前の下剤服用なども1回ですみますし、切除スケジュールを改めて別に作っていただく必要もありません。
内視鏡検査では肛門から大腸の一番奥の盲腸まで内視鏡をまず進ませて、そこからスコープを少しずつ引き抜きながら観察し、ポリープを発見したらそこで切除を行います。切除にかかる時間は5~10分程度で、痛みや不快感はありません。ただし、数が多い場合や大きなポリープがみつかった場合など、入院して切除手術を受けることが望ましい場合もあります。そうした際には近隣の連携病院をご紹介してスムーズに切除を受けていただけるようにサポートしています。

切除方法

検査中に内視鏡で切除できるのは、5~10ミリ程度の小さなポリープです。内視鏡の先からスネアというワイヤーを出して締め付けた上で切除します。切除したポリープが回収して、病理検査を行います。
切除の手法には、通電して切除するポリペクトミー、通電しないコールドポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術があり、ポリープの形状などに合わせて最適な方法を選択します。

ポリペクトミー

広く行われているポリープ切除術です。ループ状になった細いスネアを内視鏡の先から出してポリープにかけ、スネアを少しずつ締めていって、最後に通電してポリープを焼き切ります。スネアに通電することで電気メスのように術中の出血を減らすことができます。ポリペクトミー

コールドポリペクトミー

通電を行わないポリペクトミーです。通電すると術中の出血は減りますが、後で炎症を起こし、出血や穿孔などを起こすリスクがあります。コールドポリペクトミーは切除時の出血こそありますが、粘膜を傷付けずに切除できるため、術後の出血などの合併症リスクが下がります。コールドポリペクトミー

 内視鏡的粘膜切除術

スネアをかけることができない平坦な病変を安全に切除する手法です。早期のポリープや大腸がんは腸の一番内側を覆っている粘膜層に発生し、平坦なケースがよくあります。粘膜層のすぐ下にある粘膜下層に生理食塩水を注入し、ポリープを持ち上げてスネアをかけて切除するのが内視鏡的粘膜切除術です。この方法であれば、粘膜下層のさらに下にある筋肉層などにダメージを与えることはありませんから、腸に穴を開けてしまう心配なく平坦なポリープを安全に切除することができます。内視鏡的粘膜切除術

切除後の注意点

検査前日から食事制限や下剤の服用を行うため、検査後には脱水症状や低血糖を起こす可能性があります。医師の許可があったら、たっぷりの水分と甘いものを摂取して脱水症状や低血糖を予防しましょう。

切除は検査と同時に行えますが。日帰り手術というカテゴリーに含まれます。ご帰宅したら、できるだけ安静に過ごす必要があります。また、数日から1週間程度、運動などに一部制限があります。

食事

ご帰宅したら、その日はおかゆやうどんなど消化の良いものを食べてください。
翌日からの数日間は、普段の食事で大丈夫ですが、唐辛子など刺激の強いメニューや脂っこいものは避けてください。
その後は通常の食事で構いません。

アルコール

切除後1週間は禁酒です。

入浴

翌日から数日間はシャワーを軽く浴びる程度にして、バスタブに浸かるのは控えてください。

運動

切除後、軽い散歩程度でしたら翌日から可能です。
腹圧がかかる運動、激しい運動は、切除後1週間程度控えてください。
ジョギングやゴルフ、テニス、水泳なども含まれます。具体的な内容については医師にご相談ください。

旅行・出張

切除後、1週間は旅行や出張を控えます。飛行機での移動は特に気圧の変化が大きいため、避けてください。また、万が一出血などが起こった際に、遠方では的確な処置が遅れる可能性があります。内視鏡検査のスケジュールを決める際にはこうしたご説明をしながら、旅行や出張に影響しない日程を考慮いただいています。