便秘

便秘について

便秘について排便回数の減少が一般的によく知られた便秘の症状ですが、1回の排便量が減少する、排便に困難をともなう、残便感があるといった症状も便秘に含まれます。生活習慣や腸の働きによって起こる場合もありますが、大腸がんや腸閉塞など重大な腸疾患によって起こっている場合もあります。

日常生活によって起こる便秘

食事性便秘

食事内容に問題があって起こっている便秘です。朝食を食べない、不規則な時間に食事する、食べる量が少ない、食物繊維が少ないなどによって便秘になっています。

習慣性便秘

便意を我慢してしまうことが習慣になって、直腸の感覚が鈍くなり、便意を感じにくくなって起こる便秘です。便意は「今ならスムーズに便を出せますよ」と身体が教えてくれる重要なサインです。特に朝食後は便意を感じやすい時間帯であり、忙しさに紛れて便意を我慢してしまうと習慣性便秘になってしまいます。

弛緩性便秘

運動不足や加齢によって腸の蠕動運動が低下して起こる便秘です。また、腹筋が低下すると腹圧がしっかりかからず、便を押し出す力も不足します。高齢の方や妊娠中は腹筋がゆるむため、弛緩性便秘になりやすいと言えます。

痙攣性便秘

腸の働きは自律神経によってコントロールされています。緊張などのストレスで自律神経が乱れると腸が痙攣して動きが鈍くなります。これにより便が短く、細くなり、便秘と下痢を繰り返しやすくなります。

便秘の症状が現れる疾患

大腸がん

脂肪分の多い食事などにより、近年増え続けているがんです。大腸ポリープから発生することが多く、無症状の早期発見には内視鏡検査が不可欠です。大腸がんが進行すると大腸が狭くなり、排便が困難になって便秘や便が細くなる、血便などの症状が現れることがあります。こうした症状に気付いたら早めに受診してください。

腸閉塞症(イレウス)

腸が詰まってそこから先に便が運ばれなくなった状態です。腫瘍や腸の動きの障害、腸のねじれなどが原因で起こり、便秘以外の症状にはガスがたまる膨満感、腹痛、嘔吐などがあります。すぐに消化器科を受診してください。

過敏性腸症候群

緊張などのストレスをきっかけに強い腹痛が起こり、下痢や便秘などの便通異常を生じます。排便後は一時的に症状がおさまりますが、症状を繰り返し起こします。検査をしても異常がみられないこと大きな特徴となっていますが、治療できる病気です。予兆を感じた時に服用して緩和させる薬などもありますし、市販薬服用で悪化するケースもありますので、消化器科受診をおすすめしています。

便秘によって起こりやすい疾患

便秘は痔のリスクを上昇させます。便による圧迫や強いいきみは血流悪化やうっ血を起こし、痔核の原因となります。また硬い便の通過により切れ痔が起こりやすく、痛みや出血、化膿、肛門狭窄などで悪循環が発生しやすいためご注意ください。

便秘予防のために

食物繊維

便秘には食物繊維を積極的にとることが重要です。ただし、便秘のタイプによって有効な食物繊維には違いがあります。食事性、習慣性、弛緩性便秘ではゴボウやサツマイモ、痙攣性便秘には海藻や納豆、キノコなどが適しています。

定期的な排便習慣

スムーズな排便につながる便意は朝食後が一番感じやすい時間帯です。早起きして朝食をしっかりとり、便意があったらすぐにトイレに行くよう心がけることが快適な排便習慣の定着と便秘解消につながります。

適度な運動

大腸の活性化やストレス解消による自律神経の乱れ解消に、適度な運動を習慣化しましょう。また、腹式呼吸や腹筋ストレッチなど、腹筋を鍛えることも重要です。

たっぷりの水分補給

水分が不足すると便が硬くなってしまいます。1日2リットルの水分補給が最低でも必要です。また、朝目覚めた時に冷水をコップ1杯飲むと、腸の蠕動運動を刺激して自然な便意につながります。また、食事中にとる水分は大腸まで届きやすいため、スープやお茶などをたくさんとるようにしてください。

消化器科の受診

市販薬を飲み続けてかえって症状を重くしているケースがよくあります。消化器科では便秘のタイプや生活スタイルなどにきめ細かく合わせた処方を行い、排便習慣や生活習慣についても無理せず行えるようきめ細かくご指導しています。漢方薬の併用なども可能ですので、便秘を繰り返すようでしたらお気軽にご相談ください。